クラフトンがADKを買収？広告業界に起きた大変化を解説

「広告代理店って、いったいどんな仕事をしているの？」と思ったことはありませんか？

2025年6月、日本の広告業界に大きなニュースが飛び込んできました。韓国のゲーム大手「クラフトン」が、日本の老舗広告代理店である「ADKホールディングス」を買収するという報道です。広告会社がゲーム会社に買収される――。この出来事は、業界の垣根を越えた注目の動きとして話題を呼んでいます。

この記事では、そもそも広告代理店とはどんな会社なのか、ADKとはどんな企業なのか、そしてなぜクラフトンが買収を仕掛けたのかを、やさしく丁寧に解説していきます。

📺 広告代理店とは？その役割と仕事の内容

広告代理店は、企業と消費者をつなぐ架け橋のような存在です。企業の商品やサービスを、テレビCMやYouTube広告、SNSキャンペーン、ポスター広告など、さまざまなメディアを通して消費者に届ける役割を担っています。

広告を「出す側」の企業と、「載せる側」のテレビ局や新聞社・Webメディアの間に入り、戦略的な広告展開を提案・実行するプロフェッショナル集団です。近年ではデジタル領域への対応も不可欠となり、動画広告や検索連動型広告、インフルエンサー施策など、多岐にわたる業務を担っています。

ADK（正式名称：ADKホールディングス）は、日本の広告代理店の中でも長い歴史を持ち、「電通」「博報堂」とともに日本三大広告代理店の一角として数えられてきました。1946年に創業された旭通信社を母体とし、数々の名作CMやアニメ作品の広告戦略に携わってきた実績があります。

2019年にはMBO（経営陣による買収）によって上場を廃止し、非公開企業となって以降、より自由な戦略でビジネスを展開。アニメ・キャラクター領域への強みを生かし、IP活用や海外展開にも注力していました。

クラフトン（KRAFTON）は、韓国発の世界的なゲーム企業で、『PUBG』シリーズで知られる存在です。ただし、クラフトンのビジネスはゲーム制作にとどまらず、自社IP（知的財産）を活かした映画・ドラマ制作、メタバース事業、AI技術との連携にも取り組んでいます。

彼らはゲームを「始まり」として捉え、その世界観やキャラクターを使って多角的なメディア展開を進めようとしています。つまり「エンタメの総合企業」を目指しているのです。

クラフトンがADKの買収に動いた背景には、「日本市場でのブランド強化」があると考えられます。ゲームコンテンツを作るだけではなく、それをどう届け、どう印象づけるかがビジネスの成功を左右します。

広告代理店はそのための“仕掛け”を提供できる存在です。特にADKはアニメ・ゲーム領域に強く、クラフトンが描くIPビジネスとの親和性が非常に高い。さらに、日本でのCM戦略や広告配信、イベントマーケティングにおいて、ADKの持つノウハウは魅力的だったのでしょう。

また、クラフトンにとって日本は収益の柱のひとつ。地に足をつけた広告戦略を築くには、パートナーよりも自前の武器を手に入れた方が早い。そう考えたのかもしれません。

【野田商店のひとこと】
広告とゲーム、一見遠い世界に見えて、実は「人の心を動かす」点では同じ。そんな2つの業界が交わることで、私たちが目にする広告やコンテンツも、これからどんどん変わっていくかもしれません。

クラフトンによるADK買収は、単なる一企業の戦略にとどまらず、広告業界とゲーム業界、さらにはメディア業界を巻き込む大きな転換点になる可能性を秘めています。

今後の注目ポイントとしては：

特に、グローバルな視点でIPを育てるビジネスが今後主流になる中で、「広告」が果たす役割はますます重要になるでしょう。

広告業界では、過去にもさまざまな合併・買収が行われてきました。例えば、博報堂と大広が合併して博報堂DYグループになったのは有名な例です。また、電通も海外企業の買収によってグローバル展開を強化してきました。

業界の再編は、時代の変化を映す鏡とも言えます。今回のクラフトンによる買収も、広告・ゲーム・エンタメの“境界線”がなくなっていく流れの象徴かもしれません。

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