AI×マラソン｜第5話：心拍では測れない走り

AIは心拍を測れる。でも、気持ちの波までは測れない。
マラソンを走るうえで、本当に強いのは「数値」ではなく「意志」かもしれない。

AIがペースも心拍も最適化してくれる時代。 走る前から“どこで苦しくなるか”まで予測できる。 それでも――人は「予定通り」には走れない。

データは便利だ。けれど、走り出して10kmを過ぎたあたりから、 時計の数字よりも、自分の“心の声”が大きくなる瞬間がある。

AIが導けない「気持ちの波」

AIの分析では、練習データから「理想的な心拍ゾーン」を算出できる。 しかし、同じ心拍でも「今日はいける」と思える日もあれば、 「脚が重い…」と感じる日もある。

AIは過去データの平均値を見ている。 でも人間の身体は、睡眠・食事・気温・感情に左右される生き物。 同じ数字でも、コンディションはまったく違う。

AIが得意なのは「正解を見つけること」。
でもランナーが求めているのは、「自分のベストを見つけること」なんだ。

データに支配されない走り方

たとえばレース中、AIウォッチが「ペースダウン」と告げても、 気持ちが乗っているならそのまま走り切っていい。 AIは“無理を止める”けれど、人は“挑戦を選ぶ”。

大事なのは、データを基準にしながらも、自分の感覚を信じること。
AIを「答え」ではなく「参考」に変えた瞬間、走りは自由になる。

AIと人間のベストバランス

AIは冷静で、正確で、論理的。 でも人間には「想い」「感動」「仲間」という数字にならない力がある。

トレーニングの精度はAIが上げてくれる。 しかし、最後の42.195kmを走り切るのは、人間の心だ。

心拍では測れない“自分だけの走り”を、AIと一緒に見つけていこう。

🏃‍♂️ 次回予告：第6話「AIが沈黙したとき」— データを手放す勇気。

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